庵治石の種類
庵治石
庵治石は香川県の北東部、牟礼町と庵治町にまたがる地域で採掘される、世界的に有名な花崗岩です。国内では他の花崗岩の産地として、茨城県の真壁、愛知県の岡崎などがあります。正式な名称は「黒雲母細粒花崗閃緑岩(くろうんもさいりゅうかこうせんりょくがん)」という舌を噛みそうな長い名前です。
成分は石英・長石に、微細な黒雲母と角閃石が含まれており、それぞれの成分の結晶がとても小さいのが特徴で、硬さは水晶と同じ硬度7といわれています。この硬さと緻密さゆえ風化や変質に大変強く、古いお墓の文字が傷んでいなかったり、艶が失われていないのは硬さと緻密さのおかげです。
種類
その歴史は大変に古く、600年以上前から石製品としての使用が始まっていたといわれています。庵治石の種類は大きく分けて細目(こまめ)と、中目(ちゅうめ)の2種類がありますが、最近になってその中間的な位置に中細目というのも扱われています。
細目は「斑(ふ)」と呼ばれる、独特な石目模様が大変有名で細目といえば斑(ふ)、斑(ふ)といえば細目といわれるほど、よく知れ渡っています。
中目は含まれている黒雲母の数の少なさから、細目よりずっと白っぽくみえますが、硬度自体には変わりはないようです。
石の傷
庵治石は硬く美しい石ではありますが、大変傷の多い石でもあります。私の経験では、特徴的な「斑」が綺麗に浮いている石程多いような気がしました。一生懸命加工しながら、途中で傷を発見した時は本当に気持ちが沈んでしまいます。これが結構何度も続きます。
一組のお石塔制作を一組の原石で間に合うことはほとんどなく、芝台(4本組合せ)1組の制作に4組(16本)、5組(20本)制作・・という事も今迄に何度かありました。それ程多いのです。
石目模様
産地以外の人の多くは庵治石細目という名前が付けば、それはほぼ同じ様なもの・・・と考えがちですが、実はたくさんの種類があるのです。当たり前の話なのですが、庵治石は天然自然のものです。一つの採掘場(丁場・・ちょうば)の中でも右の方と左の方、もしくは上の方と下の方では石目模様は微妙に異なります。(その石目模様の違いは各丁場により差があります。これが同じ丁場の石?・・と思うことは現実によくあります。)石の種(いしのタネ、採掘場全体の石)の大きさが、外国の石のように大きくないために何処で採っても同じ石目模様にはならないのです。
1軒の丁場でその具合ですから、10軒あれば10の、20軒あれば20の・・厳密に言えばそれ以上の種類になると思います。そこで説明の際、「この丁場では概ねこのような石目模様が特徴です。」という言い方になるのです。たくさんの種類から選定、石目模様を揃える、傷、カサネの排除など、1つの美しいお墓を完成させるためには、かなり難しい綿密な工程がある事をお解かり頂けたと思います。
庵治石 細目1
大丁場で採掘されている細目。石目の細かさや斑の浮き方に上品さがあり大変バランスのとれた最高の細目です。
庵治石 細目2
大丁場で採掘されている細目。
斑の浮き方が控えめなのが特徴です。
庵治石 細目3
全体的に色が濃く、細目の中でも硬い部類になります。濃い色のため斑は若干控えめに見えます。
庵治石 細目4
大丁場で採掘される細目。少し石目が荒く色は薄め。多少石目にムラが出ることもあり。
庵治石 細目5
濃い斑が全体に浮き目立つ。色合いは濃い薄いのコントラストがはっきりしています。
庵治石 中目
細目に並ぶ高級石材。
細目よりも若干石目が粗く白っぽいのが特徴です。
※画像は撮影の方法の違い(倍率や環境の違い)により実物の模様とは若干異なる場合があります。参考としてご覧下さい。